研修医初日の思い出

現在入院しているこの病院、実は私の医者としての原点です。

25年前、地元の信州大学医学部を卒業し初めて上京しました。一度は東京に出てみたいという気持ち、それから、あのころは少なかったローテート研修制度(内科や外科、小児科、麻酔科など様々な科を回って研修する)もあったため、医者になってから2年間の研修病院としてここを選びました。

病棟も新しくなって、窓から見える敷地の景色もだいぶ変わったけれど、25年前のいろいろな出来事がどんどんよみがえってきます。患者さんの名前もまだみんな覚えてる。やっぱり、一生懸命やっていたんだろうな。

病院の敷地内の寮に住み、朝昼晩病院で食べ、病院の手術室の風呂に入り、まあ病院に住み込んでました。夜病院にいれば当直でなくてもたくさんの症例を経験できますからね。忙しいことなんか全く苦になりませんでした。

救急外来でも様々な人間模様に触れることができました。

夜明け近く、うっすらひげが濃くなり始めたオカマのお姉さんから、「きれいに縫ってね~」なんてウインクされて、東京ってところはすげーところだな、と思いました。

そして、なんといっても研修初日の注射の思い出、「超偉大な看護師さん」に遭遇し、「絶対に立派な医者になろう」と心に誓ったあの出来事は忘れることができません。

どれほど偉大な看護師さんだったかは、今までも何回かエッセイで書いているので、ぜひご覧ください。

http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1004/28/news010.html

あの看護師さんは今どうしているんだろう。秋葉原の某病院の婦長さんになったってうわさは聞いたけれど、元気でいらしゃるかな。

私が「立派な医者」になっているかどうかはわからないけれど、一度お会いしたいなあ。