マカオのインドアゲーム

2007年11月「e-resident」掲載~マカオ・第2回アジア室内競技大会(アジアインドアゲーム)

―背広を着てのミッション

今回はマカオからです。第2回アジア室内競技大会(アジアインドアゲーム)の組織委員会本部のあるベネチアンリゾートホテルの部屋から書いています。今回の海外遠征はいつもの競技帯同ドクターではありません。大会がきちんと行われているか、特に大会での医療サービスやドーピング検査がきちんと行われているのかをチェックしたり手助けしたりする役割です。

 

みなさん、IOC(国際オリンピック委員会)はよくご存知でしょう。IOCは1894年にピエール・ド・クーベルタン男爵の提唱により、古代オリンピックの復興を目的として創設されました。4年に一度のオリンピックを主催するだけではなく、世界各国のオリンピック委員会を傘下に置き、「スポーツを通じて相互理解と友好の精神を養い、平和でより良い世界の建設に貢献する」というオリンピック精神の普及と、さらなる理解を得るための活動、すなわち「オリンピックムーブメント」の普及がIOCの大きな目的で、そのための様々な活動を行っています。

そしてそのアジア版がOCA(アジアオリンピック評議会)です。クウェートに本部がありアジア地域45カ国が加盟しています。OCAが開催するアジア大会は4年ごと開催されますが、競技数の増加に対応して2年前から室内競技を中心とした室内競技大会が別に開催されるようになりました。

 

私はそのOCAのメディカルコミッティーの委員なので、今回はいつものようなジャージ姿ではなく、背広を着て、すこし「医者っぽい」ふりもして、各競技会場のメディカルルームを見て回ったり、ドーピング検査の立会いなどを行っているのです。

毎朝9時から会議があります。約2時間、前日のドーピング検査の立会いの結果を報告し、選手のメディカルルームへの受診状況の報告を受け、選手たちが十分な医療体制で試合ができるように、きちんとしたドーピング検査が行われるように、大会組織委員会の医事担当者に様々なアドバイスをします。また、メンバーたちとは朝、昼、晩、大体一緒に食事をするので、スポーツ医学やスポーツの話だけではなく、政治や経済の話、その他の世間話もしなければいけません。

まあ、なんとか対応はしていますが、皆さんお察しのとおり、私は選手と一緒にからだを動かしているほうが好きなので、それなりに疲れます。そしてなんといっても、自分の英語力のなさ、ボキャブラリーの少なさを反省します。この手の反省は昔からよくしていて、とくに海外の学会で、英語でうまくディベートできない、相手を言い負かすことができない度に、「英語を勉強しなくちゃ」って思うけれど、思っているだけで全く前に進んでいません。ただ、こうやってへたくそなりに英語だけで生活しているとだんだん慣れてくるっていうのはわかってきました。英会話の勉強だと思ってもう少しがんばることにしよう。

―インドアゲーム

メディカルコミッティー、アンチドーピングコミッションのメンバーには現場のスポーツをよく知っている人とそうでない人がいます。私なんかは普段は選手と一緒にドーピング検査を受ける側なので、選手の権利を守るほうにどうしても目が向いてしまいますが、「悪者を見つけ出すんだ」といった、いわゆる性悪説が根底にある委員もいます。そういう人も必要なんでしょうが、やはりドーピング検査をやる側も、選手たちの気持ちを理解して検査に当たる事が大事だと感じます。まあ、今日の会議ではそういう発言をしたのだけれど、みんなわかってくれたかなあ。

今回のインドアゲームでは様々な競技種目が行われています。室内陸上や室内水泳、ボーリングやビリヤード、ムエタイ、フットサル、カバディ、エアロビクスなどなど、チェスやエレクトリックスポーツ(いわゆるテレビゲーム)なんかもあります。テレビゲームがスポーツ??なんてことも感じるけれど、そうやって様々なスポーツが世界共通のルールを作って文化として発展してきたのだから、暖かい目で見ることにしましょう。ただ、やはりテレビゲームで勝ち進んでいるのは、小学生くらいの子供でしたが・・・。

今回の海外もまだまだ楽しい事がありそうです。