第196回生命科学フォーラム「オリンピックにおけるスポーツドクターの役割」

ちょっと前になりますが、5月14日に「第196回生命科学フォーラム」が開催され、日本記者クラブで話をしてきました。

「オリンピックにおけるスポーツドクターの役割ースポーツ医療最前線ー」と題した講演。

聞いていただいたのは、医療ジャーナリストや新聞、雑誌の科学部の方たち。

講演の要旨はこんな感じ。

「スポーツドクター」というと、スポーツによるけがを治療する整形外科医を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。実はスポーツドクターの仕事はとても幅広いものです。なぜなら、スポーツ医学自体がオリンピック選手やプロ選手などのトップアスリートの強化から、生活習慣病予防のための市民スポーツまで、すべてのスポーツにかかわる学問だからです。皆が生涯を通じて親しむべき多様な価値を持つスポーツ、そのスポーツに関わるすべての人たちを医学的にお手伝いするのがスポーツドクターということになります。

私のように、トップアスリートをサポートするチームドクターの役割を一言でいえば、「選手たちが最高のコンディションで練習や試合に臨むためのサポート」ということになります。オリンピックなどの国際競技大会では選手が体調を崩す原因の多くが内科的なものです。そこには、栄養、心理的なストレス、スケジュールなど様々な要素がかかわってきます。チームドクターは単なる「付き添い医者」ではありません。チームの一員として、日頃から選手や指導者、様々な役割のスタッフと信頼関係を築きながらスポーツを支えています。また、薬やサプリメントの管理など、アンチ・ドーピングにかかわることも大事な仕事です。

本講演では、ロンドンオリンピックに向けた国立スポーツ科学センター(JISS)での医学サポートの実際や、トップアスリートに対するスポーツドクターの役割について大会帯同の裏話も交えながら概説します。また、「スポーツとぜんそく」「アンチ・ドーピング」「熱中症」など最近のスポーツ医学のトピックスについてもお話しします。

最先端の医学とはちょっと遠い、泥臭い話をさせていただきましたが、みんな熱心に聞いてくださいました。

現場のスポーツドクターが何をしているのか、少しはわかっていただけたのではないかと思います。

そして、参加いただいた医療ジャーナリスト長田昭二さんのこんなブログを発見!

最先端の医学の話ではなかったので、「満足いただける話ができたかなあ」と、少し心配でもあったので、ちょっとうれしくなりました。

「選手が最高のパフォーマンスを発揮するために帯同する医師が、選手に気を遣わせたのでは本末転倒ですから」という言葉に、スポーツドクターとしてのプロ意識が感じられました。」と、ありがたいお言葉。

確かに、ちょっと恥ずかしいけれど、「プロ意識」を持って日々頑張っています。そして、その目指すところは「選手が勝つこと」「日本が強くなること」そして、「スポーツで世界中のみんなが元気になること」です。

長田さん、今度ゆっくりお話しさせてくださいね。