スポーツ仲裁シンポジウムと馳浩先生

レスリングの世界選手権の開催されたイスタンブールから帰国して1週間、久しぶりに書きます。

海外帯同で日本を不在にすると、その間にたくさんの仕事がたまっていていつも大忙しです。さらに時差ボケ状態でやらなければいけないから効率も悪い、ようやく落ち着いてきました。

昨日は六本木ヒルズ49階で「第8回スポーツ仲裁シンポジウム」が開催され、参加してきました。

スポーツ法の現代的課題と副題がついた今回のシンポジウム、スポーツ団体のガバナンス、アンチ・ドーピングなど、スポーツ基本法成立に伴い何が変わるのか、何をしなければいけないのか、という話題でした。

奥村展三文部科学副大臣と世界アンチドーピング防止機構(WADA)の事務総長デヴィット・ハウマン氏の基調講演に引き続き、パネルディスカッションが行われました。

スポーツに関する紛争を調停する期間がスポーツ仲裁機構です。1994年に設立されたスポーツ仲裁裁判所(CAS)がスイスのローザンヌにありますが、いままでに日本人としてシドニーオリンピックの選手選考をめぐり千葉すず選手が申し立てたり、Jリーグの決定したドーピング規則違反の処分取り消しを求め我那覇和樹選手が申し立てを行っています。

また日本でも2003年に日本スポーツ仲裁機構(JSAA)が設立されその役割を担っています。

新しいスポーツ基本法では素晴らしいスポーツの基本理念やスポーツ権(スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことが国民の権利である)を定めるとともに、国や地方自治体、スポーツ団体の責務なども盛り込まれたものです。すなわち、今まで以上にスポーツ関係団体は社会的責任を負うことになり、それに伴って「ガバナンス」の強化が必要となるわけです。「ガバナンス」とは直訳すると「統治」ということになりますが、「自ら健全に運営したり問題を解決する能力」とでもいいかえればよいでしょうか。しっかりした組織運営や対応能力が大事ということです。

超満員の会場には自民党の衆議院議員の馳浩先生もお見えになり、とても存在感がありました。

質疑応答で馳先生が話題にしたのは「応諾義務」のこと。

紛争が起きた時に誰かが「仲裁」するには、まずはお互いが審議に応じることが必要です。すなわち、誰かが不服を申し立てても、訴えられた側が拒否した場合には調停も仲裁もされないのです。

ですから、スポーツ団体には「応諾義務」を課すべきというのが馳先生のご意見。もちろん私も同意見。

今回のスポーツ基本法成立にも大変なご尽力をされた馳先生、自ら体を張った人の発言には重みがある、上っ面の知識だけの当たり障りのない発言とは全然違うなあ、サッスガー、と強く感じたのでした。

馳先生とは昨年ロシアで開催されたレスリング世界選手権でご一緒しました。さわやかで正義感があって私は大好き。たしか、昨年一緒にとっていただいた写真があるはずだから、見つけたらここにものっけちゃおう。

ということで、見つかりました。

今年もフリーの団長としてイスタンブールでの世界選手権にいらっしゃる予定でしたが国会のためにご一緒できなくて残念。そのうちゆっくりスポーツや日本の未来を語り合いたいなあ。

シンポジウムが終わったあと六本木ヒルズ49階から外を見るととてもいい眺め、これだけ高いとこんなに遠くまで見えるんだね。

イスタンブールの朝焼けもきれいだったけれど、東京の景色も捨てたものじゃあないなあ、と感じながら会場をあとにしたのでした。