月別アーカイブ: 2016年3月

保育園待機児童問題

 待機児童問題がテレビや新聞で大きく取り上げられています。私が理事を務める厚生労働委員会でも、与野党問わず多くの議員がこの問題で質問に立っています。

 待機児童とは、保育園に申し込みをしたが、入園できなかった子供のことです。3月28日に厚生労働省が発表した調査によると、昨年10月1日時点の待機児童数は、全国で4万5,315人に上っています。

 待機児童は今に始まった問題ではありません。昭和60年に成立した男女雇用機会均等法により、女性の社会進出に対する取り組みが積極的に行われるようになりました。その結果、働く女性が増えたことで保育園の需要も増加し、待機児童問題が顕在化しました。

 最近になって連日のようにメディアでクローズアップされるようになったのは、2月29日に行われた衆議院予算委員会での議論がきっかけです。この日、2月中頃からインターネット上で話題になっていた、「保育園落ちた日本死ね」と題するブログが取り上げられました。

 「子供を保育園に入れられなかった母親によるもの」としてインターネット上で話題になっていたこの匿名のブログをめぐって、安倍総理が「苦しい思いをしている人がたくさんいることは承知している」と述べる一方で、「匿名である以上、実際起こっているか確認しようがない」と答弁。このことが、その後の報道で取り上げられ、政府の対応に批判を招く結果となりました。また委員会での自民党議員からのヤジも、よくなかったと思います。

 しかし、政府・与党はこれまで待機児童問題に手をこまねいていたわけではありません。平成25年4月に、「待機児童解消加速化プラン」を策定。25年度からの2年間を「緊急集中取組期間」と定め、約21万9,000人分の保育の受け入れ枠拡大を達成しました。それまで年3~5万人程度だった保育拡大量を、自公政権復帰以降は年10万人程度まで拡大しました。

 これだけ保育定員が拡大しても保育園に子供を預けることができず、辛い思いをされている方が数多くいらっしゃることも承知しています。待機児童の解消に、今後も保育園を増やしていくことが重要なのは言うまでもありません。それには、何よりもまず保育士が必要です。

 待機児童に関連する問題として、長年低待遇に置かれてきた保育士の待遇改善も必要です。児童福祉の専門職としての高い専門性と、就学前の子供の命を預かる重要性とに見合う待遇に、改善していかなければならないと考えています。

 また保育園の数や定員だけが増えて、保育の質が低下しては元も子もありません。保育の質を保ちながら着実に保育定員を拡大し、質と量の両面で待機児童問題を改善していくことが重要です。

 誰もが安心して子供を産み、育てることができる社会を創ることは、私たち国会議員に課せられた責務です。とりもなおさず、待機児童問題は女性の活躍推進にも、また少子化対策にもつながる、大変重要なテーマです。この待機児童問題に、私も力を尽くして取り組んでまいります。

慶應義塾大学病院へ視察

 24日、「優れた医療機器を国民に迅速かつ安全に届けるための議員連盟」の活動として、慶應義塾大学病院への視察に参加しました。

 慶應病院では、民間企業と共同で内視鏡やリハビリシステムなど、次世代医療機器の研究・開発を行っています。この日の視察では、開発中の医療機器の試作品をデモ体験させていただきました。

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 知的財産保護の観点から実物の写真を掲載することはできませんが、日本の高度なロボット技術を活用した内視鏡や、脳活動をモニタリングし、運動をアシストするリハビリ機器など、実用段階を間近に控えたさまざまな機器を手に取って試すことができました。

 視察終了後は、参加した国会議員団と、医療機器の開発に携わっている慶應病院の先生方との意見交換が行われました。今回の視察で慶應病院側のリーダーを務めた慶應大学医学部の矢作直久教授は、私の東大病院時代の同僚で、ESD(内視鏡を使って低侵襲で胃がんの治療をする技術)の第一人者です。

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 矢作教授の「医療現場でのアイデアを実用化するには、さまざまな課題がある」という意識は私も同じであり、それが、私が政治を志した想いでもあります。

 その想いを胸に政治の世界に飛び込んだ私にとって、今回の視察は、医学だけでは解決できない問題を我々が支援して、さらにそれを日本のイノベーションに変えていく、ということをあらためて認識するものになりました。

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 現場の医療ニーズに応える医療機器の開発・普及を、これからも全力で支援していきたいと思います。

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アンチ・ドーピング体制の構築・強化に向けたタスクフォース

 文部科学省では、冨岡勉副大臣を座長とする「アンチ・ドーピング体制の構築・強化に向けたタスクフォース」を設置し、アンチ・ドーピングに関する法的枠組みについて検討を重ねています。このタスクフォースに、私もオブザーバーとして参加しています。

 先日も女子テニスのマリア・シャラポワが、今年1月の全豪オープンテニスのドーピング検査で、禁止薬物に陽性反応を示したことが明らかになりました。また昨年11月には、ロシア陸連が世界アンチ・ドーピング機構から「ドーピング問題が横行している」との指摘を受け、完全資格停止処分という最も重い処分を受けています。

 こうしたドーピングは、クリーンな選手たちの日頃の努力を踏みにじり、スポーツを愛する人々を失望させるものです。と同時に、何より「スポーツの価値」を貶めるものです。日本国内においても、より積極的なアンチ・ドーピングの活動を行っていく上で、法的整備を含め課題を整理し、対応する必要があります。

 過去のオリパラ競技大会において、日本はひとりもドーピング違反者を出していません。これまで国際的なアンチ・ドーピング活動にも積極的に貢献しており、高い評価を受けています。2020東京オリパラに対しても、ドーピングのないクリーンな大会となるよう、強い期待が寄せられています。

 このタスクフォースでは、国内のアンチ・ドーピング体制を整備・強化すると共に、2020東京オリパラの開催国として、国際的なアンチ・ドーピング体制強化に向けた貢献のあり方について検討を行います。アンチ・ドーピング体制を確立することで2020東京オリパラの価値を高め、またそれが東京大会のレガシーとなるよう、私もタスクフォースの一員として、しっかり取り組んでいきます。

 アンチ・ドーピングには議員になる以前から取り組んでいます。過去にブログにも書いていますので、ぜひこちらもご覧ください。

・アンチ・ドーピング(2010.11.20)
・チェスや囲碁にもドーピング検査があるって知っていますか?(2010.12.24)
・アンチ・ドーピング科学セミナー(2011.1.26)
・スポーツとアンチドーピング(2012.6.19)
・やっぱりアンチドーピング(2012.6.19)
・新しい世界ドーピング防止規定(2012.6.29)
・大相撲の大麻問題とアンチドーピング(2012.6.29)

新たな挑戦、躍動する日本へ 第83回自由民主党大会

 13日、第83回自由民主党大会が開催されました。全国から3000名を超える党員のみなさんが出席し、会場は熱気に包まれました。

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 谷垣禎一幹事長からの党務報告、公明党の山口那津男代表の挨拶に続いて、昨年ノーベル物理学賞を受賞された、東京大学宇宙線研究所の梶田隆章所長からゲストスピーチがありました。

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 大会議事終了後、今夏の参議院選挙の必勝を期して、決起大会が行われました。安倍晋三総裁からの力強い演説に続き、参院選候補予定者の紹介がありました。

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 若林けんた先生と共に、私も全力でがんばってまいります。

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女性の健康の理解促進をめざして

 12日、自民党本部で「平成28年度 全国女性局長・代表者会議」が行われました。第2部のパネルディスカッションで、私は女性の健康対策を担当する副局長として、コーディネーターを務めました。

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 「女性の健康の理解促進を目指して ~トップアスリートの経験から~」と題して、夏冬計7度オリンピックに出場した、2020東京オリパラ実行本部長の橋本聖子先生、アテネオリンピックハンマー投げ日本代表の室伏由佳さん、プロボクシング世界女性3階級王者の藤岡奈穂子選手の3名がパネリストとして登壇しました。

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 パネリストのみなさんからは、ご自身の競技生活の中で経験された、女性ならではのさまざまな苦労や悩みが取り上げられました。女性アスリートは、その活躍の裏で様々な課題があります。女性特有の医学的な課題に対する支援、妊娠や出産などによるキャリアの中断、アスリートを終えた後の支援、トップアスリートをめざすジュニア世代アスリートの環境など、それらの支援体制は、まだまだ十分とは言えないのが実情です。

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 またアスリートに限らず、成長期の運動は生涯にわたって健康に重要な影響があります。たとえば中学生の時に、運動不足だったり、過度なダイエットをしたりした女性は、年を取ってから骨粗しょう症になるリスクが高まると言われています。女性についての正しい知識を、教育現場や指導者に普及啓発していかなければなりません。

 自民党女性局では、「女性の生涯にわたる健康」という包括的な支援に重点を置いています。また「研究・啓発・教育」の観点から、このようなオリンピアンを中心とした有識者を交えたパネルディスカッションを開催するなどして、理解促進に努めています。

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 当日、会場には全国各地の女性局から300名を超える方が参加されました。この全国大会で学んださまざまなことを、各地域での活動に活かして、地元へ波及させていくことが大切です。女性の健康に対する理解が促進し、環境整備がさらに進むよう、女性局副局長として、これからも全国へ発信していきます。

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東日本大震災から5年

 11日、1万8,000人を超える方が犠牲になった東日本大震災の発生から5年を迎えました。午後、天皇皇后両陛下ご臨席のもと、政府主催の追悼式が国立劇場で行われ、私も出席しました。

 震災からの5年間を、政府は「集中復興期間」と位置付け、インフラ復旧や住宅再建を進めてきました。被災地域では災害公営住宅の建築や高台移転などが進み、除染の進捗や、一部地域における避難指示解除など、復興に向けた動きも着実に進展しています。

 その一方で、5年が経った今なお、避難されている方は全国で17万人、仮設住宅での生活を余儀なくされている方は12万人にのぼります。産業・生業の再生、風評被害対策、廃炉・汚染水対策など、解決すべき課題もまだ数多くあります。

 こうした中で、政府は今後5年間を「復興・創生期間」と位置付け、復興を加速化するとしています。平成32年度までの10年間で合計32兆円程度の予算を確保して、被災地の自立につながり、地方創生のモデルとなるような復興を実現します。また2020年東京オリパラを「復興五輪」とし、被災地で聖火リレーを行うなどして、復興した姿を世界に発信するとしています。

 この「復興」という言葉は、関東大震災の後、復興院総裁として辣腕を振るった後藤新平が、「旧に復す(復旧)」のではなく、さらに「興す(復興)」として使ったものです。東日本震災も、旧を超えて、さらに発展させる。その思いで取り組まなければなりません。3月11日は、そのことをあらためて胸に刻む日です。

 震災翌日の3月12日早朝には、長野県北部地震が発生しました。栄村は最大震度6強の地震に見舞われ、住宅の被害は全半壊200棟を超え、道路や橋なども大きく破損しました。

 栄村では復興交付金などの支援で公共施設の再建や道路整備、農地回復などの工事が進み、一部を除きインフラ面での復旧はほぼ完了しています。住民のみなさんは、震災前と変わらない生活水準を取り戻しています。

 被災地の人々が笑顔と活力、穏やかな暮らしを取り戻し、誰もが安心して暮らすことのできる社会を創ることこそ、政治が果たすべき使命です。今後も政府与党と力を合わせて、復興を後押ししていきます。そしてこの大震災の教訓を風化させることなく、国民の命を守り、災害に強い国づくりを進めてまいります。

 東日本大震災については、大船渡市での医療活動、陸前高田でのボランティア活動など、過去にもブログで書いています。こちらもぜひご覧ください。

・東日本大震災、スポーツ人としてすべきこと(2011.4.27)

・陸前高田でボランティア、ポット苗で校庭を芝生いっぱいに(2012.6.24)

厚生労働委員会で本格的審議がスタート

 9日、厚生労働委員会が開会され、大臣の所信に対する各党からの質疑が行われました。通常国会の開会から2か月余り。予算も衆議院を通過し、各委員会で、法案についての本格的な審議が始まりました。

 初当選以来、私が所属してきた厚生労働委員会で、初めて理事として臨みます。各委員会では、委員の中から数人の「理事」と呼ばれる役員を置いています。理事は委員長と共に、委員会の議題や日程、質問など、委員会の運営について野党との協議を行う重責を担っています。私は自民党の質疑者の調整と、提出される資料の精査を任されています。

 また委員会中に委員長が所用で席を立たなければならない時に、理事は一時的に委員長席に着席し、その職務を代行することがあります。

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 写真は、その際のものです。さっそく、本日の委員会でも委員長の職務を代行しました。

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 厚労委員会の定例日である水曜日と金曜日、また予備日の火曜日には、これからさまざまな法案について審議が行われます。また委員会開会のための理事会や、理事懇談会への出席もあり、国会開会中はより忙しい日々となります。

 安心して暮らすことができる社会保障制度の充実を多くの方が政治に求めています。医療、介護、年金、子育て支援、保育、少子化対策など、その守備範囲は多岐にわたりますが、党派を超えて、めざすところは同じだと思います。私も理事として、今後も精力的に取り組んでまいります。

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平成28年度予算案が衆議院で可決

 1日、衆議院本会議で平成28年度予算案の採決が行われました。予算案は自民党と公明党の賛成多数で可決され、参議院に送られました。憲法の規定で、予算案は参議院に送付されてから30日で自然成立します。これにより予算案の年度内成立は確実となり、経済再生にむけて4月から予算を執行することができます。

 28年度予算案の一般会計総額は96兆7218億円。4年連続で最大を更新しました。安倍総理が掲げる「1億総活躍社会」の実現に向けて、子育て支援や介護サービス拡充などを盛り込み、少子高齢化・人口減少という構造的課題に真正面から取り組む内容となっています。

 また将来の災害に備えて国民の命を守ることや、間もなく丸5年を迎える東日本大震災からの復興支援も重要な課題です。強くしなやかな国土づくりにむけて、事前防災・減災の充実、老朽化対策に重点的な措置が講じられています。

 この他にも、地方創生の本格展開、攻めの農林水産業転換への支援、教育の質の向上に向けた取り組みなど、さまざまな分野で重要課題に対応した、メリハリのある内容となっています。

 一方で厳しい財政状況に変わりはなく、財政健全化への道のりは容易ではありません。新規国債の発行については、税収の増加によって前年度より2兆4000億円少ないものの、34兆4320億円となっています。子や孫の世代に大きなツケを先送りしないために、2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化目標に向けて、より一層の歳出改革に取り組む必要があります。その中で、日本のため、世界のために、なすべきことをしっかり実行していくのが、私たちに課せられた責務です。

 予算成立後の国会では、TPP承認案と関連法案の審議が本格化する見通しです。「予算が通過したらそれで終わり」ではありません。予算が成立し、きちんと執行され、景気回復の実感が地方にまで届くように、これからも力を尽くしていきます。

ひとり一人が望む最期を迎えるための地域づくり

 2月25日、衆議院第一議員会館内で行われた「終末期における本人意思の尊重を考える議員連盟」シンポジウムで、須坂市健康福祉部の樽井寛美部長が講演されました。

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 「ひとり一人が望む最期を迎えるための地域づくり」という演題で、須高地域(須坂市、小布施町、高山村)で取り組んでいる「リビング・ウィル(生前の意思表明書)」と「看取りに関するパンフレット」についてお話しされました。

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 須坂市と小布施町、高山村は、共同で須高地域医療福祉推進協議会を設立し、「在宅で看取りができる須高地域」を目指して、在宅医療連携拠点事業に取り組んでいます。

 「リビング・ウィル」は「生前の意思表明書」と呼ばれ、自分がどんな最期を望むかを意思表示するためのものです。法的効力はありませんが、元気な時から終末期医療について考え、いざというときに本人の意思を尊重した選択を家族ができるように、家庭内で話し合うきっかけとして活用されています。

 「看取りに関するパンフレット」は、在宅での看取りのために、旅立ちに至るまでにみられる身体の変化、症状の変化について説明したものです。家族が在宅で看取りをする上での不安軽減や、それをサポートする医療や介護スタッフのみなさんが看取りに対する共通理解を深めるために利用されています。

 須坂市は保健補導員発祥の地です。戦後間もない頃から健康に関する学習と実践を重ね、家庭や地域へ広める活動を続けています。その結果、介護認定率・介護保険料が県内19市で最も低い市となりました。

 2013年、私が国会議員になって初めての質問に臨んだ厚生労働委員会では、この須坂市の保健補導員制度を取り上げました。

 人生の最期を、ひとり一人が望む形で迎えるための地域づくりに、須坂市は小布施町、高山村と協力しながら取り組んでいます。とりもなおさず、それは命や家族を大事にすることにもつながっていきます。

 私も医師出身の国会議員として、須高地域の「元気な時から人生の最期を考える文化」を共に育んでいけるよう、これからも命の大切さを真剣に考えながら、政治活動に取り組んでいきます。

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