日別アーカイブ: 2015年11月17日

ジビエ議連で茅野市と富士見町へ視察

16日、ジビエ議連(捕獲鳥獣食肉活用推進議員連盟)の鳥獣肉処理加工施設視察で茅野市と富士見町を訪問しました。私を含め9名の国会議員が参加し、県内からは議連副会長の宮下一郎先生、事務局次長の務台俊介先生、また若林健太先生が参加されました。県外からは議連副会長の谷公一先生、幹事長の小里泰弘先生、また牧島かれん先生、小島敏文先生、今野智博先生が参加されました。

ジビエ議連は、近年増大している野生鳥獣による農作物の被害を減らすために、農作物をさまざまな手法で防御するだけではなく、そこで捕まえた獣肉を、食用として販路に乗せることはできないかと考え、その推進を目的としています。そもそも欧州では鹿肉などは高級食材として珍重されているからです。

視察当日は昼前に茅野駅に到着後、バスでレストラン「オーベルジュ エスポワール」まで移動し、まずはジビエ料理の昼食会が行われました。NPO法人日本ジビエ振興協議会の理事長でもあるオーナーシェフの藤木徳彦さんからこれまでの取り組みや今後の活動についてお話を聴きながら、鹿肉や猪肉、熊肉と、地元でとれた野菜などを調理した料理を美味しくいただきました。味はもちろんですが、見た目の盛り付けも素晴らしいです。鹿肉と言うと「臭い」「固い」といったイメージを持つ人もいるかもしれませんが、血抜きの方法や処理までの時間などで味わいは変わるそうです。適切に処理された鹿肉はやわらかな触感と淡白な味わいがとても美味しいお肉です。また高たんぱく・低脂肪で、鉄分は豚肉や鶏肉の5倍もあり、特に女性におすすめとのことでした。

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食後にバスで移動し、午後は富士見町の「信州富士見高原ファーム」を見学しました。この施設は平成25年8月に、地元の猟友会の有志の方々が共同で設立された施設です。それまで狩猟や有害鳥獣駆除で捕獲されても有効に活用されていなかった鹿や猪を重要な地域資源として注目し、安心・安全でおいしい富士見産ジビエとして商品化しています。代表の戸井口裕さんからこの施設建設の経緯や運営などについて、また戸井口代表の息子さんの戸井口裕貴さんからは、実際の処理方法など具体的なお話を伺いました。

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その後、富士見町役場において、信州ジビエの利用拡大に向けた現状と課題について意見交換を行いました。藤木シェフや戸井口さんをはじめ、長野県、富士見町、そして農林水産省や厚生労働省、経済産業省の方々も加わり、今後のジビエ振興の課題について、さまざまな意見を出し合いました。

近年、野生鳥獣による農作物被害額は全国で年間200億円に達しており、特に長野県は北海道や福岡県などと並んで被害が大きく、被害額は年間10億円にも上っています。要因としては里山の荒廃などによる鳥獣の生息域の拡大や、耕作放棄地の増加等があります。被害を減らし、ジビエの生産量を増やすためには地域の捕獲体制の整備や、搬出・搬入体制の強化等が挙げられています。富士見町では信州富士見高原ファームによる食肉処理施設の運営が始まったことで、捕獲された野生鳥獣が有効に活用され、駆除に対する住民の理解も得やすくなっているそうです。

その他にも処理加工体制の強化、信州ジビエのブランド強化や商品開発、スーパーでの通年販売などによるサプライチェーンの構築といった取り組みも重要な課題です。今回の視察ではこうした課題に充実した意見交換ができ、とても有意義でした。この経験を今後の議員活動に活かしていこうと思います。