Archive for 2月, 2012

マラソン藤原新選手の自己管理能力

月曜日, 2月 27th, 2012

昨日は東京マラソン、藤原新選手が素晴らしい結果を残しました。

今回私は現場ではなく、のんびりとテレビ観戦でしたが、あのしぐさ、あの表情、あの走り、ほんとにかっこよかった。

藤原選手は現在私が勤務する国立スポーツ科学センター(JISS)を拠点にトレーニングをしています。

会社を辞め、スポンサーもいない中、大きな目標に向けてひたすらがんばっていた姿をよく知っています。

昨年の2月に書いたブログトレッドミルで時速20キロ?に登場するマラソン選手というのも実は藤原新選手。

そんな姿をみながら、ひとりでがんばっている藤原選手のことを応援する気持ちで23日にはツイッターにも書きました。

「先日の読売新聞で東京マラソンに出場する藤原新選手の紹介、北京は補欠、所属していた実業団をやめて貯金を切り崩しながら競技を続けている。「東京マラソンは自分の値段が決まる一戦」と。よく話しするけれど、まじめで一生懸命な男。がんばれよ!」

彼と接していて本当に感心するのは私にはとてもまねできない「自己管理能力」です。

自分の体のことを本当によくわかっていて、それを常に医学的・科学的に客観的に評価している。

定期的な血液検査も、すべて自分で検査項目まで考えて、私は言われたとおりに検査指示を出すだけ。

でも「あまり数字だけに惑わされちゃダメだよ、自分の感覚も大事だよ」という私のアドバイスもきちんと理解している。

レース前の「体の状態を、データとしてきちんと記録しておきたいんです」という彼の言葉を聞きながら、余裕や自信を感じていました。

「きっとやってくれるだろうな」と思っていました。

4年に一度のオリンピックやその選考レースに万全なコンディションで臨むのはとても大変なこと、カラダもココロも最高な状態でいるための「自己管理能力」が必要です。

それができた選手がトップアスリートということなのだろうと思います。

ひと晩あけた今日も話をしました。

大レース直後とは思えないいつも通りの笑顔。いつも通りの藤原選手でした。

これからは、注目もされて、期待もされて、騒がれることもあるのだろうけれど、周りに惑わされず、今まで通りにやればきっと大丈夫。

みんなで応援するからね。

オリンピック選手になってメディカルチェック

火曜日, 2月 21st, 2012

今日はナショナルトレーニングセンター(NTC)の大浴場・勝湯(かちのゆ)でのお話。

一仕事終えて、帰宅前11時すぎに久しぶりに勝湯へ。

サウナに入ったら、ちょうど日本テレビのニュースZEROでレスリングの吉田沙保里選手の特集をやっていました。

「2回も金メダルとって、今度は3回目のオリンピックなんて本当にすごい人だなあ」、と一緒にサウナに入っていたウエイトリフティングの選手たち。

桜井翔さんとの対談では、北京オリンピックの前、中国の大原で行われたワールドカップで119連勝がストップしたときのことが話題に。

吉田選手が負けた瞬間、私もチームドクターとしてすぐ近くにいました。

かなり落ちこんだ吉田選手が立ち直るきっかけになったのはやはり家族の一言。

「あんたが破った119人の選手たちは、みんな、今のあんたと同じ気持ちになったのよ」というお母さんの言葉で、負けが吹っ切れたのだそうです。

さすが吉田ママ!

そんないろいろな話をしながら、ウエイトリフティングの選手たちとテレビを見てました。

「ドクター、またJISSクリニックでお世話になりますからよろしくお願いします!」と選手。

「ケガや病気になんかならないほうがいいから、我々の世話になんかならないほうがいいよ」と私。

「いや、メディカルチェックで診てもらいに行きます。ロンドンオリンピックに選ばれたらメディカルチェックがありますから」

派遣前チェックといって、オリンピックに選ばれたらメディカルチェックが必ずあるのです。

「そうだな、よし、頑張ってオリンピック選手になって、メディカルチェックしような」

「ハイ、頑張ります」と嬉しそうに答える二人の選手。

二人は、お風呂からあがるときもわざわざ私のいるサウナ室の中にまで入ってきて、「お先に失礼します」と大きな挨拶して浴場を出て行きました。

ああ、さわやか。

本当に応援したい気持ちになります。

派遣前メディカルチェック、待ってるからね。

被災地での検死ボランティアとグリーフケア

土曜日, 2月 18th, 2012

大森歯科医師会で開催された講演会で、富士見高原病院の後藤敏先生の「死体検案と歯科検案支援」という話を聞いてきました。

どうして歯科医師会?

実は大森歯科医師会会長の岡本徹先生は私の高校の同級生、てっちゃん。

そして、講演された後藤先生も高校の同級生、ごっちゃん。

てっちゃんから、「ごっちゃんが東日本大震災の医療・検死支援の話をしに来てくれるからヨタ(私のこと)も来ない?」と誘われて、聞きに行ってきたのです。

医者としてとっても勉強になる、そして心に残るいいお話でした。

泥だらけのご遺体を必死できれいにする警察の方たち。

安置所でのさまざまなドラマ。

帰らぬ人となったご主人を見て泣き崩れる女性。

その傍らにずーっと寄り添い、「わたしが死体検案させていただいた後藤です」というと、その奥さんは、どんなに素晴らしい旦那だったか、ご主人との思い出などをたくさん話してくれたのだそうです。それらをずーっと聞いていた後藤先生。

そして最後に「ありがとうございました」とその奥さん。

初めて会った後藤先生だけれど、ご主人を最後に見てくれた人。

そして、亡くなったご主人の話もずーっと聞いてくれた。

いわゆる「グリーフケア」です。

大切な人を亡くして大きな悲観(グリーフ)に襲われている人に対するサポート。

とても大切な医療行為。

悲しみを吐き出す、誰かがそれを聞いてくれる。それがとても大事。

震災医療ボランティアのことはよく報道もされたけれど、死体検案のために現地で頑張っていたドクターのことはあまりよく知らなかった。

そして、安置所でのグリーフケアまでやってたのね。

すばらしいなあ。

もちろん、そのあとは高校時代の思い出を肴に、おいしいお酒をたらふく飲みながら夜は更けていったのでした。