日別アーカイブ: 2011年6月14日

ドーピング違反と外国製サプリメント

昨日残念なニュースがありました。

レスリングの北村克哉選手が4月の全日本選抜選手権後のドーピング検査で禁止物質であるドロスタノロンが検出され、日本アンチドーピング機構(JADA)から2年間の資格停止処分が科されたと発表されました。

どうやら本人は意識なく摂取した外国製のサプリメントにこの筋肉増強剤が含まれていたようです。北村選手はとてもまじめな選手です。ドーピング行為をしようと思って摂取したわけではない事は間違いないでしょう。しかし、ドーピング行為を行おうとしたか否かにかかわらず、尿から禁止物質が検出された場合にはドーピング違反になり制裁が科されます。それが国際的なルールなのです。

ロンドンオリンピックを目指していた北村選手も無念でしょう。同時に、選手を身近でサポートする私にとっても、そうなる前に何とかしてあげられなかったか、と責任を感じてしまいます。

選手たちには普段から、薬やサプリメントを摂取する際にはドーピング検査で問題がないものかどうか細心の注意を払うように話をしています。必ず成分表示を確認すること、わからなかったら我々に相談すること、成分が不明なもの、特に外国製のサプリメントには注意しなければいけません。

2001年に国際オリンピック委員会(IOC)が行った調査では、調査した634の外国製サプリメントのなんと14.8%にタンパク同化ステロイド(筋肉増強ホルモン)が含まれていました。すなわち、プロテインなどにこっそり筋肉増強剤をまぶしてあるサプリメントがあるのです。そうすれば、「このプロテインは筋肉モリモリになる」と評判になり、売れるわけです。これらはインターネットなどでも簡単に手に入れることが出来るようですから、スポーツ選手は注意しなければいけません。

昨年度1年間に日本アンチドーピング機構(JADA)が日本国内で実施したドーピング検査数は5477件でした。選手たちはこんなにたくさんのドーピング検査を受けているのです。そのうち、ドーピング違反は5件、違反の割合は0.09%ということになりますが、これは外国に比べるときわめて低い数字です。

「スポーツはずるをしてはいけない。ドーピングというずるを許してしまうとスポーツそのものの存在が危うくなってしまう」ということを、日本の選手たちはよくわかっています。だからこそ、今回のような「うっかりドーピング」がおきないようにしなければいけないし、それを手助けするのがスポーツにかかわる我々の役割でもあります。

様々なサプリメントを摂っている選手はたくさんいますが、一番大事なことは、アンチ・ドーピングの知識を含め「正確な知識」を持ってサプリメントを摂取することです。

国立スポーツ科学センター(JISS)では、選手たちにサプリメントに関する正しい知識を持ってもらうために、ホームページにサプリメント@JISSを載せ、最新の情報を更新しています。一度ご覧ください。