日別アーカイブ: 2011年4月19日

憧れの諏訪二葉、ボロボロ校舎という替え歌と歌集ダイアナ

先日、信州の実家に帰った時のこと、ローカルな、そして懐かしい話を一つ。

上諏訪駅で降りて改札を降りた私の目に飛び込んできたのは「諏訪二葉高校弓道部」と書かれた白いジャージ、でもそれを着ているのは男子学生。なんだか違和感がある。そうです、我々の時代、かつて諏訪二葉高校は憧れの女子高だったのです。あのころは長野県内にはまだたくさんの県立の女子高がありましたが、現在はすべて共学になりました。

ある替え歌が、頭に浮かびました。

1.ボロボロ校舎に風が吹けば、ギシギシきしむその音哀れ、その音聞けば二葉恋しや、若きわれらのウェルテルの悩み

2.ボロボロ帽子に白線まいて、町をのすのは清陵の生徒、そのあと追うのは二葉の生徒、若き乙女のはかなき願い

3、ボロボロ服にタオルぶら下げ、今日も通るは本町通り、それを見送る赤いネクタイ、若きわれらの恋の世界よ

ボロボロ校舎という、わが諏訪清陵高校に伝わっていた高尚な替え歌、実はこの替え歌、メロディーは諏訪二葉高校の同窓会歌。なんと憧れの女子高の同窓会歌を替え歌にして我々の憧れの世界を作り上げてしまうという大胆な発想。先輩のだれが考えたのかわかりませんが、今考えると高校生の底知れぬパワーを感じます。

いま思えば恋に関して相当まじめだった、というか晩熟だった私の高校時代、亀井勝一郎の「青春論」や「愛の無常について」などを読んで、女性に性欲などあるはずがない、と真面目に思っていました。それでもやはりなんでも知りたくなっちゃう青春時代、わが諏訪清陵高校に伝統的に伝わる歌集「ダイアナ」でたくさんの大人にしかわからない世界を勉強させてもらいました。

「ボロボロ校舎」も掲載されている「ダイアナ」は茅野北部中学出身の学生・山浦独哲歩歩(ドテポッポ)会の連中がが毎年改訂作成し全校生徒にわたります。第一部校歌、第二部寮歌、第三部歌曲、第四部替え歌の四部構成で、第四部の替え歌はボロボロ校舎のような高尚な替え歌を除きそのほとんどが、男と女の下半身中心のいわゆる「エロい」替え歌。しかし、今読んでもなかなか文学的な味わいもあり、高校生の創造力と想像力に感心します。公民館で行うコンパのたびに皆で歌いました。

ちなみに、今を時めく脳科学者、諏訪東京理科大学教授の篠原菊紀さんは高校の二つ先輩で山浦独哲歩歩会。高校時代から存在感がありましたから、たぶんあの歌集の中には篠原菊紀作のエロい替え歌もあったのだと思います。

実家の本棚にまだ残っていた30年以上前の歌集「ダイアナ」をめくりながら、無限の可能性があると思っていた高校時代を懐かしく思い出しました。そして、いつまでたってもあの頃の気持ちや正義感を持ち続けなければいけないぞ、と強く感じたのでした。

実家の本棚に残っていた高校時代の歌集ダイアナ