月別アーカイブ: 2011年2月

毎日30分のリ八ビリ

手術後ほぼ順調に経過しています。ただ、左足の付け根の神経痛が結構痛い。まあ、いっぱい切ったわけだからしょうがないね、だんだん良くなるでしょう。

毎日30分のリハビリがあります。やはり一人だと、さぼってなかなかやらないけれど、手伝ってくれる人がいると進みます。トップアスリートにおけるトレーニングコーチやトレーナーと同じ役割ですね。でも、何のためにやるのか理解していないと効果が上がらないのも同じです。

今日はリハビリ室で、以前国立スポーツ科学センターで一緒に働いていた整形外科のS先生と久しぶりに会いました。働きながら子供も3人育てて、さらに今度は大学院に入ったんだとか。すごいねえ。

リハビリ室はとても広くて開放的で、そこで体を動かすのは気持ちが良いです。

今日はアート・ペッパー、明日はコルトレーン

入院して2回目の日曜日、術後ちょうど10日です。

テレビもかなり見飽きてきた。同じようなバラエティーやワイドショーばっかり、何よりコマーシャルが多い。その点NHKはコマーシャルもないし、いい番組を作っているね。受信料を払う価値は十分ある。普段あまりテレビを見ない僕ですが、この2週間でテレビに関してはいろいろ勉強できました。

今日は家人に昔聞いたジャズのCDをたっくさん持ってきてもらって聞いてました。

今日はひたすらアートペッパー。久しぶりに聞いたけれどやっぱりいいね。というか、最近は音楽をゆっくり聞く余裕も最近はなかったのかもしれない、と改めて気づきました。

学生時代、ジャズ聞くと大人になったような気がして、ジャズ喫茶にも結構通ってた。松本にはあのころ「エオンタ」っていう、店の中でおしゃべりしちゃいけないジャズ喫茶があったけれど、今もあるだろうか。

一関の「ベイシー」にも行ったことあるなあ。高野悦子の二十歳の原点の中に出てくる京都の「シアンクレール」を訪ねたこともある。やっぱり、学生時代って時間があったんだね。

よし、明日は、コルトレーンの歌うようなサックスを聞きまくることにしよう。

初めての学会発表と露天風呂での混浴

病室の窓から某女子大のテニスコートが見えます。

25年前、医者になってからこの病院で2年間研修した私は、このテニスコートのすぐ隣の研修医用の寮に住んでいました。

すべてに敏感だったあの頃、まともな医者になろうと頑張っていたあの頃、ずいぶん前のことだけれど昨日のことのように思い出されます。

指導してくれたドクター、看護婦さん、そして患者さんや患者さんの家族、たくさんの方たちに育てていただきました。

研修医一年目の時、血液内科の鈴木憲史先生から、「小松君、来年札幌で臨床免疫学会があるんだけれど多発性骨髄腫のデータまとめてみる?」と言われました。

鈴木先生に手取り足取り指導していただき、多発性骨髄腫の患者さんのカルテを取り寄せ、データをまとめ、翌年に日本臨床免疫学会総会で発表しました。私にとって初めての学会発表でした。

忙しい臨床病院での研修でありながら、医学の、アカデミックな面にも触れさせていただいたことは本当にありがたかったです。

札幌で発表した帰り、ご褒美に、小樽に寄って毛ガニを食べて、長万部、函館から青函連絡船にのって列車で東京に帰りました。

長万部まで行く途中、なんて名前の駅か忘れましたが、列車の車窓から露天風呂が見えたので急遽途中下車して鈴木先生と露天ぶろにつかっていたら、若い女性3人が入ってきて混浴、こっちは恥ずかしいのに、彼女たちはいかにも北海道の女性という感じでおおらか。いろいろな話をして楽しかった。

函館でも、ぶらっと一人で入った「シャッポ」っていう名前のバーで、たまたま来ていたお客さんの女性と真夜中函館山に登ったなあ。あのバーはまだあるんだろうか。

いまではあまり考えられないことだけれど、あのころまでは学会のあとちょっと寄り道できたりしました。今よりは少しは余裕があったのかもしれません。

その鈴木先生、先日病室に来てくださいました。25年前とまったく変わらずパワー全開、とてもうれしかったです。

花粉症のスポーツ選手ってたくさんいるんですか?

花粉症の季節になりました。

今年は去年に比べて花粉の量がかなり多いんだとか、花粉症の私としてもちょっと心配。

でも、今年は入院中で病院の中だから、いまのところまだ花粉の雰囲気は感じていません。

花粉症というのは様々な花粉が原因で鼻炎や結膜炎を起こすアレルギー疾患です。今の時期だと主にスギ花粉ですが、そのほかの花粉にアレルギーがある人は、夏や秋にも起こります。

花粉症、ぜんそく、アトピー性皮膚炎などは「アレルギー性疾患」と呼ばれますが近年増加しています。

スポーツ選手でもその頻度は増加していて、国立スポーツ科学センターでのメディカルチェックの結果でも、オリンピック候補選手たちの約3割が花粉症です。

選手たちに花粉症の治療を行っているかを問うと、多くの選手が「我慢してます」とか「気合で対処してます」なんて答えます。特に屋外スポーツでは症状が出ないほうがよいにきまっているのに、治療を行っている選手が意外と少ないのには驚きます。

この原因の一つに、ドーピングにかかわる点があります。一部の花粉症の薬はドーピング禁止薬物が含まれているため、ドーピング違反になるのが怖くて選手たちは薬を使うのを躊躇してしまうのです。もちろん、ドーピング違反にならない薬はたくさんあるので、そこら辺をしっかり教育して、選手たちが安心して花粉症の治療ができるようにしなければいけない、これは私たちの責任です。

ちなみに、花粉症でドーピングが問題となるのは、糖質コルチコイドの全身投与だけです。ですから、セレスタミンやプレドニンの内服やケナコルトなどの筋肉注射はできません。しかし、点鼻薬や点眼薬に糖質コルチコイドが含まれていても問題ありません。また、通常の抗アレルギー薬の内服も問題ありません。

私は、毎年2月14日のバレンタインデーからアレジオンという抗アレルギー剤の内服を1日1回開始して、2か月間続けます。その間、症状がひどければザジデン点眼薬やナゾネックス点鼻薬を使います。これで、マスクをしなくても、ゴーグルもつけなくても全く問題なく対処できます。

新しい世代の抗アレルギー薬は眠くなりませんし、そのかわり「すぐ効いた」という感じも少ないのですが、確実に効き目がありますから、症状が出る前から内服を開始して2か月間しっかり飲み続けることが大事ですよ。

なんでもつかめるマジックハンド

今日でちょうど手術してから一週間。たくさんの方が部屋を訪ねてくれました。

午前中にはセクレタリーKと医療ジャーナリスト宇山さん、午後には現在東大病院で胆膵の分野で大活躍している伊佐山先生、そして、最後は職場の美人専門職軍団。

みんなが、「きれいな病院ですねー」って言ってた。

術後一週間なんて、まだベッドの上から起きられないと思っていたので、順調な経過で、みんなとたくさんおしゃべりできて楽しかったです。

そして、美人専門職Sサンからのプレゼントがこのマジックハンド。3か月は固いコルセットをつけたままで、腰もあまり動かしたりひねったりできないので、このプレゼントはとてもうれしい。

なんでもつかめるマジックハンド、「じゃあ彼女のハートも」、なんて言う年じゃあないね。

日本代表ロボコップ!

みなさま、こんにちは。小松先生のセクレタリーKです。

腰椎間板ヘルニアの手術の為、入院されている小松先生ですが、先日手術を終えられて一息ついたところにお邪魔しましたのでレポートします。

「腸骨(ちょうこつ)をとって、腰椎間板に移植した」と専門的なお話を伺いしました。詳細は小松先生のブログをお待ち下さい。

予想以上にお元気そうな小松先生でしたが、動きはやはり、ぎごちなくガッシャンガッシャン。痛いのかな??

ロボコップ後姿

原因はこれでした。要コルセット!

ロボコップ正面

ですが、小松先生はお気に入りのよう。 日本代表アスリートを支えるロボコップ! 順調に回復されてるようですよー。入院レポートはまた後日!みなさま応援、よろしくお願いします。

研修医初日の思い出

現在入院しているこの病院、実は私の医者としての原点です。

25年前、地元の信州大学医学部を卒業し初めて上京しました。一度は東京に出てみたいという気持ち、それから、あのころは少なかったローテート研修制度(内科や外科、小児科、麻酔科など様々な科を回って研修する)もあったため、医者になってから2年間の研修病院としてここを選びました。

病棟も新しくなって、窓から見える敷地の景色もだいぶ変わったけれど、25年前のいろいろな出来事がどんどんよみがえってきます。患者さんの名前もまだみんな覚えてる。やっぱり、一生懸命やっていたんだろうな。

病院の敷地内の寮に住み、朝昼晩病院で食べ、病院の手術室の風呂に入り、まあ病院に住み込んでました。夜病院にいれば当直でなくてもたくさんの症例を経験できますからね。忙しいことなんか全く苦になりませんでした。

救急外来でも様々な人間模様に触れることができました。

夜明け近く、うっすらひげが濃くなり始めたオカマのお姉さんから、「きれいに縫ってね~」なんてウインクされて、東京ってところはすげーところだな、と思いました。

そして、なんといっても研修初日の注射の思い出、「超偉大な看護師さん」に遭遇し、「絶対に立派な医者になろう」と心に誓ったあの出来事は忘れることができません。

どれほど偉大な看護師さんだったかは、今までも何回かエッセイで書いているので、ぜひご覧ください。

http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1004/28/news010.html

あの看護師さんは今どうしているんだろう。秋葉原の某病院の婦長さんになったってうわさは聞いたけれど、元気でいらしゃるかな。

私が「立派な医者」になっているかどうかはわからないけれど、一度お会いしたいなあ。

映画「カサブランカ」のリックと健さん

今日は手術後5日目、順調に経過して久しぶりに座ったままでシャワーを浴びました。腰の痛みはないけれど、左の鼠蹊部のかなり激しい痛みが時々襲います。まあ、そのうちよくなるでしょう。

しかしこんなにゆっくりできるのは医者になって初めて、テレビなんか普段昼間見たことなんかないから、どういう番組がやっているか勉強になります。

国会中継なんかもじっくり見られたのは初めてです。でもこのだらしない政権に対する野党の攻撃にもちょっといらいらしますね。

制限時間があるのならもっと的を絞って相手をやっつけなきゃ。いろいろなことを言いすぎて、結局のらりくらりかわされて、消化不良のまま次の質問へ。「俺に喋らせろ」って心の中で叫んじゃいます。

今日の午後は、アカデミー賞も受賞した名画「カサブランカ」がBSでやっていたので見ちゃいました。

大学生の時、松本の縄手の名画座で見て以来約30年ぶり。久しぶりに見たリック演ずるハンフリー・ボガードはやっぱり渋くてかっこよかった。

そして今日感じたことは、戦争という背景はあるにせよ、映画の中で描かれている男と女の関係が、私の好きな昔の東映任侠映画とよく似ているなってことでした。

つまり、ハンフリー・ボガードが高倉健でイングリッド・バーグマンが藤純子、男は余計なことは言わず、でも女のことを考え、正義のために戦うってこと。

やっぱり、「男は黙ってサッポロビール」ですよね。